社会情勢や自然災害、病気になったりケガをしたり、さまざまな理由でお金を借りなければならない状況になることは少なくありません。
お金を借りる方法はさまざまです。しかし、誰でも、いつでも、すぐに借りられる方法ばかりではありません。融資の方法によって対象者や要件があります。
また、お金を借りる際には、状況や目的、メリットや注意点なども把握しておく必要があります。
国からお金を借りられる制度のほか、すぐにお金を借りる方法、安全にお金を借りるための注意点などについて解説しますので、状況や目的に合った方法を見つけてください。
- お金を借りる方法は消費者金融や銀行だけでなく国からも借りる方法もある
- 生活費や教育費用など用途が広い生活福祉資金貸付制度
- 臨時特例つなぎ資金貸付は公的融資を受けるまでの生活費の貸付
- 無職でも可能!ハローワークは仕事を紹介してくれるだけでなく求職者支援資金融資の手続きもできる
- 配偶者がない場合は母子父子寡婦福祉資金貸付金制度を利用する
- 「国の教育ローン」は固定金利で長期返済が可能なので安心して借りられる
- 介護福祉士を目指すなら福祉や介護分野における貸付制度を利用する
- 保育士を目指す学生や再就職を支援する保育分野での貸付がある
- 新規事業資金や業績悪化をカバーしたいなら日本政策金融公庫の貸付をチェック
- 低金利で返済負担が少ない!メリットの多い公的支援制度でお金を借りる
- 国からお金を借りる際には審査がある!公的融資制度の注意点
- お金を借りる際の審査が不安な場合は質屋を利用してみる
- 郵便局では定期貯金を担保にしてお金を借りることができる
- 会社からお金を借りたい場合は福利厚生の従業員貸付制度を利用する
- 賢く利用しよう。公的支援制度の活用術
お金を借りる方法は消費者金融や銀行だけでなく国からも借りる方法もある
お金を借りたくても、消費者金融や銀行は安定した収入がないと契約ができません。そのため、失業してお金に困っている状態では、カードローンでお金を借りることは不可能でしょう。
そういった場合、国からお金を借りる方法もあります。
消費者金融からお金を借りることができれば便利
お金を借りたいと考えたとき、すぐに浮かぶのは消費者金融カードローンや銀行からの借り入れではないでしょうか?特に消費者金融カードローンは、スマホがあれば申し込みも可能で、早ければその日のうちにお金を借りることも不可能ではありません。
融資可能金額の範囲内であれば、借り入れと返済を繰り返すことも可能です。大手消費者金融カードローンなら、スマホで借りてスマホで返済することもでき、気軽にお金を借りることができ、非常に便利です。
消費者金融からお金を借りるには安定した収入が必要
消費者金融カードローンでお金を借りるには審査に通らなければなりません。お金を借りることができるのは、安定した収入が継続してある場合です。また、他社からの借入金額にもルールがあり、収入の3分の1を超える貸付はできません。
過度な借入れから消費者の皆さまを守るために、年収などを基準に、その3分の1を超える貸付けが原則禁止されています(総量規制)。例えば、年収300万円の方が貸金業者から借入れできる合計額は、最大で100万円となります。
公的支援の融資制度は生活に困っている人を助ける制度の一つ
国では失業者や病気などで仕事ができない人、高齢者や障害がある人などが生活に困らないよう、支援制度を整えています。
失業保険に加入している人が受給できる失業手当、1割~3割負担で医療サービスが受けられる医療保険などのほか、住まいに関する支援金を用意したり、結婚する新婚夫婦に家の購入費や家賃をサポートしたりする自治体もあります。
そのような制度には貸付制度もあります。制度としての貸付制度は、安定した収入は条件に入っていません。他社からの借り入れが多くても、それだけで申し込みができないということもありません。
もちろん、貸付には要件や対象者が決まっているので、誰もがお金を借りることができるとは限りませんが、該当するならお金を借りることで生活を立て直すことができます。
公的融資制度にはさまざまな種類があります。該当するものがあれば、住んでいる地域の自治体に行って詳細を聞いたり、相談をしてみたりしてみてはいかがでしょうか。
生活費や教育費用など用途が広い生活福祉資金貸付制度
国からお金を借りられる代表的な公的支援制度の一つが、「生活福祉資金貸付制度」です。低所得者世帯、障害者世帯、高齢者世帯を対象に、生活費や教育費、事業継続費など幅広い用途においてお金を借りられるのが特徴です。
生活福祉資金貸付制度には、総合支援資金、福祉資金(福祉費、緊急小口資金)、教育支援資金、不動産担保型生活資金、の4種類があります。
失業で住むところを失うリスクのある人を助ける「総合支援資金」
総合支援資金の主な目的は、失業などで収入がなくなり、家賃や公共料金などを払えない世帯への貸付です。総合支援資金には、生活支援費、住宅入居費、一時生活再建費があります。
資金の種類 | 用途 | 貸付限度額 |
---|---|---|
生活支援費 | 生活再建のための生活費 | 月20万円以内(2人以上)、月15万円以内(単身) |
住宅入居費 | 賃貸住宅契約の際に必要な敷金や礼金など | 40万円以内 |
一時生活再建費 | 一時的に日常の生活費で払えない費用(技能習得費用や滞納している公共料金の支払い、債務整理に必要な費用など) | 60万円以内 |
利子については、連帯保証人があれば無利子、なくても年1.5%です。
ただし、申し込んでもすぐにお金を借りることはできません。
※貸付には審査があり、申込みから資金交付まで約1か月かかります
お金を借りる際には審査があり、貸付までには時間がかかるため早めの検討をおすすめします。
医療費や介護関連費用などの支払いや自立支援をする「福祉資金」
福祉資金は医療費や介護・障害者サービス費用、住宅の改築、また自立をするための技術習得期間中の生活費用などを支援する福祉費と、緊急に生活費が必要になった場合の緊急小口資金の貸付があります。
福祉費は以下のようにさまざまな目的に使用できるのが特徴です。貸付限度額は、使用目的によって異なります。
資金の使用目的 | 貸付上限額の目安 |
---|---|
生業を営むための必要経費 | 460万円 |
技能習得の経費や期間中の生活費 | 130万円~580万円(技能習得期間による) |
住宅の増改築や補修、公営住宅の譲り受けの経費 | 250万円 |
福祉用具などの購入費 | 170万円 |
障害者用自動車の費用 | 250万円 |
中国残留邦人などにかかる国民年金保険料の追納経費 | 513.6万円 |
ケガや病気の療養費やその期間中の生活費 | 170万円~230万円(療養期間による) |
介護サービスや障害者サービスの費用やその期間中の生活費 | 170万円~230万円(療養期間による) |
災害を受け臨時に必要な費用 | 150万円 |
冠婚葬祭費用 | 50万円 |
住居の移転、給排水設備の設置などの費用 | 50万円 |
就職や技能習得などに必要な費用 | 50万円 |
日常生活を営む際一時的に必要な費用 | 50万円 |
保証人があれば無利子、なくても利子は年1.5%です。
緊急小口資金は緊急で一時的に生活が困窮したときに、10万円を無利子で借りられる資金です。緊急小口資金を借りるケースには以下のようなものがあります。
- 年金や保険、公的給付金が支給されるまでの生活費
- 医療費や介護費の支払いで生活費が不足した場合の費用
- 失業などにより収入が減った
- 滞納していた税金や国民保険料、年金保険料を支払い生活費が不足した
- 滞納していた公共料金の支払いで生活費が不足した など
また、審査もあり即日融資というわけにはいきません。ただし、公的融資は慎重な審査が行われるため、融資までに時間がかかることが多いのですが、緊急小口資金は1週間程度で振込まれることも多いようです。
窓口で受付後、審査をします。審査の結果、貸付可の場合は指定の口座に送金します。送金までには1週間以上かかることもありますのでご了承ください。
貸付金は、貸付決定後、借入申込者指定の金融機関預金口座へ振り込みます。 ※大阪府社会福祉協議会で受付してから貸付まで 7 日営業日程が目安です。
緊急小口資金の返済は2ヵ月後から始まるため、それまでに返済ができるようにしておかなければなりません。
返済の目途が立ちやすい「教育支援資金」
教育支援資金は高等学校、大学、短大、高等専門学校で学ぶための支援を無利子で借りられるものです。卒業してから返済できるため返済の目途が立ちやすく、お金を借りる精神的負担も軽いと言えるでしょう。
教育支援資金には、教育支援費と就学支度費があります。
資金の種類 | 目的 | 貸付限度額 |
---|---|---|
教育支援費 | 高等学校、大学、高等専門学校に就学する際の費用 |
|
就学支度費 | 高等学校、大学、高等専門学校に入学する際の費用 | 50万円以内 |
具体的には次のような費用に充てることができます。
教育支援費 | 授業料、施設設備費、実習費、教科書代、制服や体操服などの費用、修学旅行費、定期代、PTA会費 など |
---|---|
就学支度費 | 入学金 |
「不動産担保型生活資金」は不動産を有効活用できる高齢者向けの貸付制度
収入のない高齢者がお金を借りるのは難しいものです。しかし、居住用不動産を所有していれば、それを担保に生活のためのお金を借りることができます。それが、不動産担保型生活資金です。
不動産担保型生活資金は、低所得高齢者向けと、生活保護受給者向けにわかれています。それぞれの貸付限度額は以下の通りです。
不動産担保型生活資金(低所得高齢者世帯) | 土地の評価額の70%程度で月30万円以内 |
---|---|
要保護世帯向け担保型生活資金(要保護高齢者世帯) | 土地及び建物の評価額の70%程度(集合住宅の場合は50%)で生活扶助額の1.5倍以内 |
どちらも貸付利子は年3%、もしくは長期プライムレートのどちらか低い方。貸付期間は、借受人の脂肪時まで、または貸付元利金が貸付限度額に達するまでとなります。
不動産担保型生活資金を利用すれば、住み慣れた家に継続して住むことも可能です。ただし、お金を借りることができるのは、65歳以上の低所得高齢者です。
65歳未満の方や低所得者ではない方は利用できません。また、生活資金の貸付なので、老人ホームへの入居資金などには原則使用できません。
年齢や所得、使用目的によっては民間のリバースモーゲージを検討してみるとよいでしょう。
生活福祉資金貸付の対象は低所得者・障害者・高齢者世帯
生活福祉資金貸付制度は、低所得者世帯、障害者世帯、高齢者世帯が対象です。具体的には、以下のような世帯が対象となります。
低所得(者)世帯とは、市町村民税非課税程度が目安です。基準は自治体によって異なります。例として神奈川県社会福祉協議会においては、以下の基準を目安としています。
単身 | 2人世帯 | 3人世帯 | 4人世帯 | 5人世帯 |
---|---|---|---|---|
135,000円 | 202,100円 | 270,200円 | 332,500円 | 392,300円 |
障害者世帯とは、身体障害者、知的障害者、精神障害者で手帳の交付を受けている、障碍者総合支援法によるサービスを受けているといったことに該当する者のいる世帯のことです。低所得者は要件に含まれていません。
高齢者世帯は65歳以上の高齢者がいる世帯です。福祉資金においては、日常生活において療養や介護が必要な高齢者がいる世帯が対象。4人世帯で年収600万円程度が目安です。
それぞれの資金の対象者は以下の通りです。
総合支援資金 | 低所得世帯 |
---|---|
福祉費 | 低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯 |
教育支援資金 | 低所得世帯 | 不動産担保型生活資金 | 低所得高齢者世帯、要保護高齢者世帯 |
貸付は個人に対するものではなく、世帯に対するものです。そのため、家族の収入で生活ができる世帯は、対象外となります。
総合支援資金と緊急小口資金は原則自立相談支援事業の利用が必要
生活支援資金貸付の目的の一つは相談者の自立を図り、お金を借りなくても生活ができるよう支援していくことです。国では、お金を貸すだけでなく、就職支援や貸付プランの相談、家計のやりくりなどの相談にも乗ります。
総合支援資金と緊急小口資金は、自立相談支援事業を利用することが要件です。
総合支援資金と緊急小口資金の貸付にあたっては、就労支援をはじめ包括的な支援が必要であることから、就職が内定している者等を除いて生活困窮者自立支援制度における自立相談支援事業の利用が貸付の要件となっています。
生活福祉資金貸付制度の申し込みや相談は市区町村社会福祉協議会へ
生活福祉資金貸付制度の申し込み・相談窓口は、市区町村の社会福祉協議会です。どの貸付が適切なのかわからない、相談にのってほしいという場合は、地域の社会福祉協議会に連絡をしましょう。
お金を借りるまでの流れは以下のようになります。
福祉費、教育支援資金、不動産担保型生活資金を借りたい場合は、地域の市区町村社会福祉協議会に申し込み・相談に行きます。
申請書類をもとに、市区町村社会福祉協議会と都道府県社会福祉協議会において審査があり、承認されればお金を借りることができます。
総合支援資金、緊急小口資金を借りたい場合は、まずは自立相談支援機関もしくは、地域の社会福祉協議会に相談や申し込みに行きます。
市区町村の社会福祉協議会と自立相談支援機関が連携し、相談者の状況や希望に合わせ支援プランを検討。お金を借りることになった場合は、申込書類をそろえ都道府県社会福祉協議会に申請します。
都道府県社会福祉協議会で最終的な審査が行われ、承認されればお金を借りることができます。
お金を借りることで自立できると判断されなければ借りられない可能性がある
生活福祉資金貸付制度は公的融資ですが、対象者であっても必ず借りられるとは限りません。
公的融資であっても返済が必要です。今は無職でも、就職支援を受け収入を得るようになり返済できる可能性があると判断されなければ審査通過できない可能性もあります。
また、以下の項目に該当する世帯は総合支援資金を借りることができません。
- 生活保護世帯
- 債務整理をしている、また予定がある
- 生活状況が確認できない
- 離職者支援資金や総合支援資金を12ヵ月借りて返済が終わっていない など
また、自営業を継続していたり、暴力団員が属していたりする世帯は利用できません。
臨時特例つなぎ資金貸付は公的融資を受けるまでの生活費の貸付
公的融資を申請し受理されたとしても、実際に借りるまでには時間がかかります。その際の制度が、「臨時特例つなぎ資金貸付」です。
お金を借りることができるのは公的貸付を受理されている場合
臨時特例つなぎ資金貸付が利用できるのは、以下に該当する場合です。
- 公的貸付(雇用保険、失業等給付、訓練・生活支援給付、生活保護等)の申請が受理されている
- 当該給仕開始までの生活ができないほど困っている
- 金融機関の口座がある
公的融資の申請や申請しても受理されなかった、という場合は対象外です。
貸付限度額などは以下の通り。
貸付限度額 | 10万円以内 |
---|---|
利子 | 無利子 |
連帯保証人 | 不要 | 返済について | 融資の貸付が実施された時点で一括、もしくは分割で返済 |
無職でも可能!ハローワークは仕事を紹介してくれるだけでなく求職者支援資金融資の手続きもできる
ハローワークでは、失業手当の手続きをしたり、仕事を紹介したりしてくれます。そのほか、仕事を探す支援だけでなく、仕事をするためのスキルを身に付けられるほか、給付金や融資支援の手続きもできます。もちろん、無職でもお金を借りることが可能です。
求職者支援資金融資は求職者支援制度の給付金だけでは生活できない場合に利用可能
ハローワークの支援制度の一つが、就職や転職、スキルアップをしたい人が月10万円の給付金を受給しながら、職業訓練ができる求職者支援制度です。
雇用保険を受給できない人でも利用できるのがメリットで、パソコンや医療・介護関連の講習や、WEBデザイン、ネイリスト養成などさまざまな講習を無料で受講できます。
しかし、給付金だけでは勉強している間の生活費が足りない場合、求職者支援資金融資を利用できます。
お金を借りることができるのは給付金を受けられる人
求職者支援資金融資の対象者は以下の通りです。
- 職業訓練受講給付金の受給が決まっている人
- ハローワークで求職者支援資金融資が利用できると決まっている人
まずは、職業訓練受講給付金の申し込みが必要です。それが決まっている場合、求職者支援資金融資の審査を受けられます。
審査では貸付が適切かどうか、また返済する意思があるか、また暴力団員ではないか、といったことが調査されます。
貸付額は月5万円~10万円を受講予定訓練月の数
貸付金額は以下の通りです。
- 月額10万円(上限)✕受講予定訓練月数(最大12)
- 月額5万円(上限)✕受講予定訓練月数(最大12)
同居している家族や別居はしていても生計を同一している配偶者、子ども、父母などがいる場合は月額10万円。そのほか、単身者などは月額5万円です。
そのほか、貸付に関する詳細は以下の通りです。
貸付方法 | 本人の口座(ろうきん)に一括振込 |
---|---|
貸付利率 | 年3.0%(遅延した場合は元金に対して年14.5%の損害金が発生) |
返済方法 | 毎月末日(貸付日の月の翌月末以降より)に自動引き落とし | 担保人・保証人 | なし |
訓練終了月の3ヵ月後の末日までは元金据え置き期間となるので、利息のみの返済ですみます。ただし、訓練を途中で辞めた場合はハローワークに届け出をして、労働金庫で契約変更が必要です。 1ヵ月以上放置してしまうと、債務残高を一括返済しなければなりません。
配偶者がない場合は母子父子寡婦福祉資金貸付金制度を利用する
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は、配偶者なしで子どもを育てている一人親や寡婦などがお金を借りることのできる制度です。
お金を借りたい目的に合わせて12種類の資金が用意されている
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度には、12種類の資金があり、目的に合わせて選択できます。
生活資金 | 知識や技能習得期間中や医療・介護を受けている期間中の生活費、また母子父子家庭になって7年未満で生活が安定しない場合の生活補給資金 |
---|---|
住宅資金 | 住宅の購入、建設、改築、増築、保全などに必要な資金 |
転宅資金 | 引っ越しするための運送費や賃借(敷金など)に必要な資金 |
修学資金 | 高等学校、高等専門学校、短期大学、大学、大学院、専修学校に就学するための授業料や書籍代、交通費など |
就職支度資金 | 就職のために必要な被服や靴、通勤自動車などの購入資金 |
就学支度資金 | 就職や修業のための被服などの購入資金 |
技能習得資金 | 自分で事業を始める、または就職するために必要な知識や技能を習得するために必要な資金 |
修業資金 | 自分で事業を始める、または就職するために必要な知識や技能を習得するために必要な資金 |
医療介護資金 | 医療が介護を受けるための資金(医療や介護を受ける期間が1年以内) |
結婚資金 | 扶養する児童が結婚する際に必要な資金 |
事業開始資金 | 設備費用や什器、機械など事業を始めるための資金 |
事業継続資金 | 事業を継続するための材料や商品などの購入費といった運転資金 |
収入が少なくて生活費が足りない場合のほか、子どもを学校に入学させる費用や教科書代、通学するためのお金を借りることができます。
また、就職や事業を始める際には、必要なスキルを習得するための費用、子どもが就職する際に必要であれば運転免許費用、通勤に必要であれば車の購入費などを借りることも可能です。
資金によっては300万円以上のお金を借りることもできる
母子父子寡婦福祉資金貸付金制度では、資金の種類、目的、個人や団体かなどによって借りられる金額が異なります。それぞれ借りられる資金の限度額は以下の通りです。
生活資金 | 一般:月額108,000円 技能:月額141,000円(母子家庭の母、父子家庭の父が生計中心者ではない場合、および扶養する子どものない寡婦、子どもの生計を維持していない寡婦は月額70,000円) |
---|---|
住宅資金 | 1,500,000円、特別:2,000,000円 |
転宅資金 | 260,000円 |
修学資金 | 月額68,000円、特別460,000円 |
就職支度資金 | 一般:105,000円、特別:340,000円(通勤用自動車の購入費) |
就学支度資金 | 小学校:64,300円、中学校:81,000円、国公立高校等:160,000円、修業施設:282,000円、私立高校等:420,000円、国公立大学・短大・大学院等:420,000円、私立大学・短大等:590,000円 |
技能習得資金 | 一般:月額68,000円、特別:一括816,000円、運転免許:460,000円 |
修業資金 | 高校・専修学校(高等課程):月額52,500円、高等専門学校:月額(1~3年)52,500円、(4~5年)115,000円、専修学校(専門課程):月額126,500円、短期大学:月額131,000円、大学:月額146,000円、大学院(修士課程):月額132,000円、大学院(博士課程):月額183,000円、専修学校(一般課程):月額52,500円 |
医療介護資金 | (医療):34,000円、特別:480,000円 (介護):500,000円 |
結婚資金 | 310,000円 |
事業開始資金 | 個人:3,260,000円、団体:4,890,000円 |
事業継続資金 | 1,630,000円 |
連帯保証人がいれば、無利子で、いない場合でも1.0%といった低利子で借りることが可能です。
子どもが借受人となる場合や、償還能力等から連帯保証人を立てる必要性があると認められる場合等を除き、基本的に連帯保証人は不要ですが、修学資金、就学支度資金、修業資金、就職支度資金(児童対象分)以外の資金については、連帯保証人を立てない場合は、年1.0%の利子が課されます。
貸付を希望する際は事前相談・審査が必要
母子父子寡婦福祉資金貸付金を利用する際は、地域の保険福祉事務局など地方公共団体の福祉担当窓口やひとり親家庭福祉担当課に相談・申し込みをしますが、お金を借りる際には審査があります。
審査ではまず、対象者として該当していることが前です。対象者は以下の通り。
- 配偶者がなく20歳未満の児童と扶養している母子家庭の母、父子家庭の父
- 寡婦(配偶者がなく、かつて配偶者のない母として20歳未満の児童を扶養していたことがある方、前年度の所得が203万6千円を超えていない方)
- 父母のない児童
- 配偶者のない方が扶養する児童や子
- 婚姻経験があり40歳以上で配偶者がいない女性(前年度の所得が203万6千円を超えていない方)
- 母子・父子福祉団体
また、返済可能であることが重要です。無職ではないことや、貸付金、カードローン、クレジットカードのキャッシングなどの返済が月収の30%以内であること、貸付金や税金、公共料金を滞納していないこと、などを要件としている自治体もあります。
「国の教育ローン」は固定金利で長期返済が可能なので安心して借りられる
公的融資制度の中では就学資金など子どもの教育費を借りることもできますが、教育費に特化した貸付もあります。公的融資制度である国の教育ローンもその一つ。
「国の教育ローン」は日本政策金融公庫が扱う教育ローンです。子ども一人につき上限350万円(要件によっては450万円)まで借入可能。固定金利で返済も長期設定ができるほか、入学金や授業料、パソコン代など幅広い使い方ができるのもメリットです。
利用対象学校は就業年限が3ヵ月以上で中学校卒業以上対象の教育施設
利用できる対象学校は以下の通りです。
- 高等学校・高等専門学校・特別支援学校の高等部
- 大学・大学院・短期大学
- デザイン学校や予備校など専修学校・各種学校
- 職業能力開発校などの教育施設
- 外国の高等学校・大学・大学院・短期大学・語学学校など
修業年限が3ヵ月以上で、中学校卒業以上の方を対象とした教育施設が対象です。
大学の研究生や聴講生のほか、防衛(医科)大学校や気象大学校など学生が公務員となる学校や、給料をもらいながら教育を受ける企業の訓練施設は対象外です。
入学金や授業料のほか住居費用などさまざまな用途に使えるのもメリット
国の教育ローンで借りたお金は、次のようなさまざまな使い道が認められています。
- 入学金や授業料などの学校納付金
- 受験料や受験時の交通費、宿泊費などの受験するための費用
- 住居を借りるための敷金や家具などの購入費
- 教材費やパソコン購入費、修学旅行費や国民年金保険料など
学費や教材費だけでなく、在学のための住まいに関する費用や、学生の国民年金保険料などもカバーできるので、生活費の心配も減るでしょう。
子ども一人につき350万円まで条件によっては450万円までの借り入れが可能
借りられるお金は子ども一人につき350万円(今後1年間に必要な費用が対象)までです。さらに、次のような項目に該当する場合、450万円までの借り入れができます。
- 自宅外通勤の場合
- 海外留学をする場合
- 大学院に行く場合
- 修業年限が5年以上の大学(昼間部)に行く場合
借り入れは世帯単位ではなく、子ども一人につき350万円まで借りられるので、兄弟姉妹がいれば、それぞれ350万円までお金を借りることができます。
固定金利で完済時まで金利の変更がないので返済計画が立てやすい
金利は固定金利(令和5年10月2日現在では年2.25%)です。そのため、途中で金利が上昇し返済金額が変わるなどの不安がありません。返済計画も立てやすいでしょう。
また、以下の場合、優遇金利となり、通常利率の-0.4%(年1.85%)でお金を借りることが可能です。
- 交通遺児家庭
- 母子・父子家庭
- 世帯年収が200万円(所得132万円)以内
- 子どもが3人以上の世帯で世帯年収が500万円(所得が356万円)以内
また、返済期間は18年以内と長期なので返済負担も軽くなります。毎月元金と利息を合わせて返済をしますが、在学期間中は利息のみの返済とすることもできます。返済期間を短くしたい場合は、ボーナス月の増額返済も可能です。
利用条件として世帯年収の上限額がある
国の教育ローンは世帯年収の制限があります。世帯年収の上限額は扶養している子どもの数によって異なります。
子どもの人数 | 世帯年収(所得)の上限額 |
---|---|
1人の場合 | 790万円(600万円) |
2人の場合 | 890万円(690万円) |
3人の場合 | 990万円(790万円) |
4人の場合 | 1,090万円(890万円) |
5人の場合 | 1,190万円(990万円) |
ただし、子どもが2人以内で勤続年数が3年未満、借入申込人や配偶者が単身赴任、海外留学のための借り入れなど、いずれかに該当する場合、990万円(所得が790万円)まで上限額が緩和されます。
未成年は教育ローンでお金を借りることはできないが奨学金なら条件によって申込可能な場合も
国の教育ローンの契約者は主に保護者となります。しかし、中には保護者がいないがいないケースや未成年が教育費を借りたいといったケースもあるでしょう。
未成年の場合、教育ローンを契約することができません。しかし、日本学生支援機構の奨学金であれば追加書類の提出で申し込みできる可能性があります。
未成年者が奨学金に申し込むときは、親権者の同意が必要となりますが、事情により親権者の同意を得られない場合は、追加書類の提出により申込みを受け付けます。該当する場合は、学校へ申し出て手続きに必要な書類を受け取ってください。
奨学金制度も教育を受けるためにお金を借りることができる制度ですが、上記のような点以外にも、国の教育ローンと日本学生支援機構の奨学金(貸与型)には、以下のような違いがあります。
国の教育ローン | 日本学生支援機構の奨学金(貸与型) | |
---|---|---|
利用者 | 主に保護者 | 学生本人 |
利用可能額 | 350万円~450万円 | 月額1万円~12万円 |
貸付方法 | 一括 | 毎月定額分を貸付 |
返済期間 | 最長18年 | 最長20年 |
申込期限 | 特に決まっていない | 募集時期に申し込み |
国の教育ローンは奨学金との併用も可能です。両方のメリットや注意点などを比較し、適した選択をしましょう。
銀行の教育ローンは世帯年収に上限がない
公的融資である国の教育ローンには世帯年収に上限がありますが、銀行の教育ローンに世帯年収の上限はありません。そのほか、銀行の教育ローンには、次のような特徴があります。
- お金を借りる方法の選択肢が複数ある
- 支払い済みの費用も借り入れ可能
- 住宅ローンの契約者は金利優遇などのサービスがある
- 融資スピードが早い
- 返済額は借入金額や期間などから算出
お金を借りる方法には、必要なときに必要な金額を借りる方法と、必要な金額をまとめて借りる方法など、選択肢が複数あるケースが多く、適した方法を選ぶことができます。
中には申込から融資まで時間がかからないことも多く、急ぎでお金を借りたい人におすすめです。
ただし、借り入れには審査があり、他社からの借り入れが多かったり、ほかの返済が遅れたり、滞納していたりすると審査に通らないこともあります。
介護福祉士を目指すなら福祉や介護分野における貸付制度を利用する
介護福祉士を目指しているけれど教育を受けるお金がないという場合、貸付制度を利用してみてはかがでしょうか?介護福祉士になりたいという人だけでなく、出産や育児などで離職した人の再就職を支援する融資制度もあります。
無利子で返済免除あり!介護福祉士修学資金貸付
介護福祉士修学資金貸付は、介護福祉士、社会福祉士の資格を取るために、厚生労働大臣指定の養成施設などに在学している人を対象として、無利子で勉強する資金を融資するものです。
養成施設を卒業後、介護福祉士として県内の社会福祉施設などで5年間継続すれば、返済は免除されます。
介護福祉士修学資金貸付事業の概要は以下の通りです。
対象者 | 介護福祉士養成施設に在学している、もしくは入学を予定している |
---|---|
貸付金額 | 月額5万円以内、入学準備金20万円以内、就職準備金20万円以内、国家試験受験対策費用4万円以内(1年度あたり) |
貸付期間 | 養成施設在学中 |
福祉系高校修学資金貸付は3年間の勤務で返済は免除される
福祉系高校修学資金貸付事業は、福祉系の高校に在学し、卒業後指定県内で介護職員として仕事をしたいと考えている人を対象とした融資制度です。
介護福祉士として3年間勤務すれば、返済は免除されます。
概要は以下の通りです。
対象者 | 福祉系高校に在学している、もしくは入学を予定している |
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貸付金額 | 就学準備金(入学金以外)3万円、介護実習費3万円以内(1年度あたり)、就職準備金20万円以内、国家試験受験対策費用4万円以内(1年度あたり) |
貸付期間 | 福祉系高校在学中 |
介護職として再就職したい方をサポートする介護職員再就職準備金貸付
資格や経験がある介護職員が、再就職をするために必要なお金(40万円以内)を借りることができる制度です。貸付後、2年間勤務することで、返済が免除になります。
貸付には、次の条件をすべて満たしていることが必要です。
- 以下、いずれかに該当し、介護保険サービス事業所等で勤務経験が1年以上ある方
- 介護保険サービス事業所などで介護職員などとして再就職をしたい方
- 都道府県福祉人材センターに届出をして、再就職準備金利用計画書を提出している
(介護福祉士の資格がある、実務者研修を修了している、介護職員初任者研修を修了している)
他職種から介護職員に転職する方に融資をする介護分野就職支援金貸付事業
介護職として未経験の方、他職種から介護職に転職を考えている方を対象とした貸付制度です。所定の研修を修了していることなどが条件ですが、就職費用として20万円を借りることができます。
貸付後、介護職員等として2年間勤務すれば返済が免除されます。
以下の条件をすべて満たしている方が対象です。
- 介護未経験者、無資格で仕事をしていた方や、無職で介護職員初任者研修など所定の研修を修了している
- 介護保険サービス事業所などで、介護職員などとして就職した方
- 就職支援金利用計画書を提出した方
介護分野における貸付制度の問い合わせや相談、申し込みは各都道府県の福祉人材センターで行っています。興味のある方は、住んでいる地域の社会福祉協議会や福祉人材センターに問い合わせてみましょう。
保育士を目指す学生や再就職を支援する保育分野での貸付がある
社会問題ともなっている保育士不足を解消する対策の一つとして、国は保育士を目指す方や保育士として再就職をしたい方を支援する貸付制度を用意しています。
保育士の資格取得をサポートする保育士修学資金貸付
保育士修学資金貸付は、将来保育士として活躍したい方に無利子で貸付をする制度です。卒業後、県指定の施設で5年間継続して保育士として勤務した場合は返済が免除になります。
対象者 | 県内の指定保育養成施設に在学している、もしくは県外の指定保育士養成施設に在学し県内に住所がある |
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貸付額 | 月額5万円以内。入学準備金として20万円以内、就職準備金として20万円以内の貸付も可 |
保育士経験者の再就職を支援する就職準備金貸付
保育士の資格があり、再就職を希望する方を支援するのが就職準備金貸付です。県内の保育所などで2年間継続して保育士の業務を行えば、返済が免除となります。
対象者 |
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貸付額 | 20万円以内 |
未就学児を持つ保育士の保育料の貸付制度もある
産休や育休から復帰したいなど、未就学児をもつ保育士を対象に、保育料の一部を借りられる制度があります。貸付期間は1年間。保育料の半額(月額27,000円以内)を貸付。
県内の保育所などで2年間継続して保育士として仕事をした場合、返済は免除されます。
保育分野の貸付内容や条件は、県によって異な点もあるので、お住まいの地域の社会福祉協議会で確認をしてください。
新規事業資金や業績悪化をカバーしたいなら日本政策金融公庫の貸付をチェック
日本政策金融公庫では、新規で事業をスタートさせたいという方や事業の経営が悪化している方などを支援する貸付制度を多数そろえています。対象となる貸付制度について、チェックしてみましょう。
適正な事業計画があり遂行できる可能性があれば新規開業資金を借りられる
新規開業資金は、新しく事業を始めたいという女性や若者、シニア、さらには再チャレンジしたいという方のスタートアップをサポートする貸付です。
貸付の審査では、事業計画の内容とそれを実現できる能力に関して確認されます。過去に廃業経験があり、その際の債務を返済費用としても利用可能です。
対象者 | 新規で事業を始める方、もしくは事業開始後おおむね7年以内の方 |
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使いみち | 設備資金、運転資金 |
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
返済期間 | 設備資金:20年以内、運転資金:7年以内 |
利率 | 基準利率(要件に該当する場合は特別利率あり) |
一時的な業績悪化に対応する制度「経営環境変化対応資金」
新型コロナウイルスや材料費の高騰など、さまざまな要因によって業績が悪化した場合、お金を借りることを検討するケースも多いでしょう。経営環境変化対応資金(制度)は、社会的、経済的環境の変化によって経営がうまくいかなくなった経営者のための貸付です。
対象者 | 社会的、経済的環境の変化が原因で一時的に売り上げが減少したが、回復の見込みがある方。売上高が5%以上減少、純利益額や売上計上利益率が悪化している、資金繰りが厳しいなど |
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使いみち | 設備資金、運転資金 |
融資限度額 | 4,800万円 |
返済期間 | 設備資金:15年以内 運転資金:8年以内 |
利率 | 基準利率(要件に該当する場合は特別利率あり) |
小売業や飲食業で観光事業を行っている方向けの観光産業等生産性向上資金
卸売業や小売業で観光事業を行う方が、外国人観光客などの需要に対応するお金を借りることができる貸付です。これから観光事業を始める、事業の多角化を目指し観光事業を始めたいという事業者は対象外となります。
対象者 | 卸売業、小売業、飲食サービス業、サービス業のいずれかで観光事業を営んでいる方 |
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使いみち | 設備資金、運転資金 |
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
返済期間 | 設備資金:20年以内、運転資金:7年以内 |
利率 | 特別利率A |
低金利で返済負担が少ない!メリットの多い公的支援制度でお金を借りる
国や自治体からお金を借りるメリットには、次のような点があります。
低金利で返済期間が長いなど返済負担が軽い
国からお金を借りる際、無利子もしくは低金利であることが多いものです。また、据置期間(利子のみ支払いをすればよい期間)があり、返済期間が長い融資も少なくありません。
融資を受けられる条件は収入が少ない、もしくは無収入であるケースも多いため、返済負担が軽くなっている点が特徴です。
無職でもお金を借りることができる制度がある
消費者金融やクレジットカードのキャッシング、銀行などの金融機関でお金を借りるには、安定した収入があることが条件です。無職ではお金を借りることができません。
しかし、公的融資の中には、無職でも融資対象となる総合支援資金、失業中でもお金を借りられる求職者支援資金融資制度などがあります。
お金を借りられるだけでなく求職サポートなど自立のための支援をしてくれる
求職者支援制度では、給付金や貸付をするだけでなく、就職のための講習を無料で受講できます。スキルや資格を持っていた方が、就職できる可能性は高くなります。資格によっては給料アップも目指せるでしょう。
また、生活福祉資金貸付制度では、就労支援だけでなく家計指導なども行い、自立して生活できるよう、サポートをしてもらえます。
お金を借りることができても、仕事が見つからなかったり、計画的な利用や返済ができなかったりすれば、またお金が足りなくなる可能性もあります。
そのような状況を回避するため、相談にのったり一緒に適した借入・返済プランを考えてくれたりするのも、国からお金を借りる際のメリットです。
日本政策金融公庫の貸付は種類が多く適した融資を見つけやすい
日本政策金融公庫には、中小企業や個人向け、スタートアップ支援など貸付の種類が豊富です。先に紹介した「国の教育ローン」や「新規開業資金」のほか、「企業活力強化資金」、「海外展開・事業再編資金」など、事業を拡大するための融資もいろいろあります。
また、「災害貸付」、「経営環境変化対応資金」など、状況に合わせた種類の融資も行っています。さまざまな種類の中から、より適した融資を選ぶことができるでしょう。
国からお金を借りる際には審査がある!公的融資制度の注意点
公的融資はお金がなく生活に困窮していたり、子どもの教育費用が足りなかったりする世帯にお金を貸してくれるものですが、申し込めば誰でも借りられるものではありません。公的融資制度を利用する際の注意点を把握しておきましょう。
審査が通らないとお金を借りることはできない
公的融資制度を利用する際は、審査があります。融資制度に該当するかどうか、適した貸付けかどうかを調査し、融資が必要と判断されなければ、お金を借りることはできません。
「総合支援資金」は、離職・減収により日常生活全般に困難を抱えた「世帯」の生活の立て直しの ために、継続的な相談支援と貸付を行う制度です。
再就職後に借金(貸付金)の返済という負担を伴う制度であり、「貸付」が適切か判断した上で支援します。そのため、利用にあたっては、世帯全体の生活状況を正しくお聞かせいただくことが必要です。
また、公的融資は財源に限りがあります。返済された資金を循環させることが必要となるため、返済はきちんとしてもらわなければなりません。そのため、審査では「返済の意思」「返済可能かどうか」を重要視することが多いです。
用意しなければならない書類が多く不足すると審査が遅れる
公的融資を受ける際、用意しなければならない書類が多いので、そろえるのに時間がかかることがあります。
例えば、総合支援資金を申し込む際の必要書類には、次のようなものがあります。
- 社会福祉協議会の窓口で交付される借入申込書
- 健康保険証と住民票の写し
- 世帯状況がわかる書類
- 連帯保証人の資力を証明する書類
- 求職活動など自立に向けた取り組みについての計画書
- 申込者の個人情報を必要な関係機関に提供することが記載されている同意書
- 借用書 など
上記以外にも、社会福祉協議会で必要な書類も用意しなければなりません。不足していたり、間違った書類を用意したりすれば、審査が進まないので、早めの準備や不明な点は確認をしてから用意するようにしましょう。
返済期間が長めなのはメリットでもあるが注意が必要
公的融資制度には、返済期間が長めなものも少なくありません。
総合支援資金 | 据置期間経過後10年以内 |
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福祉費(福祉資金) | 据置期間経過後20年以内 |
新規開業資金(日本政策金融公庫) | 7年~20年 |
返済期間が長いことで余裕を持って返済可能になる点はメリットですが、利息がかかる場合、返済期間が長くなるほど返済総額が増えてしまいます。
公的融資制度は無利子や低利子のものが多いですが、それほど低くないものは早めの返済をおすすめします。
即日融資はできないのですぐにお金を借りることはできない
消費者金融カードローンでは、最短即日融資が可能なケースもありますが、公的融資は即日融資に対応していません。
申込から資金交付までは、1ヵ月~数ヵ月かかることもあります。
余裕を持って資金をご準備いただけるよう、必要時期の2~3ヵ月前のお申込みをおすすめします。
借り入れ資金の種類や申込時期などによって、お金を借りるまでの時間は異なります。綿密な調査が必要だったり、書類を確認したりするため、融資までには時間がかかってしまうのです。
返済が遅れれば遅延損害金が発生することもある
公的融資制度であっても返済期限があり、返済が遅れれば遅延損害金が発生するケースがあります。
元金と利息の返済が遅れた場合は、遅延している元金に対して年14.5%の損害金(遅延利息)の支払い義務 が発生します。
約束した償還期日を過ぎてもなお、償還が終わっていない場合は、残っている元金に対して、年 10.75%の率で計算された延滞利子が日割りで加算されます。
借りたお金は返済しなければなりません。それは公的融資制度においても当然のことです。返済ができない場合は放置せずに、早めに借入先に相談をしましょう。
お金を借りる際の審査が不安な場合は質屋を利用してみる
お金を借りる際の審査が通らない場合は、質屋でお金を借りるという方法があります。質屋では、品物を預けてお金を借りることができたり、品物を買い取ってもらったりすることができます。
品物を預けるだけなので借りたお金を返せば品物が戻ってくる
リサイクルショップやフリマアプリなどで品物を売れば、お金を得ることができますが、売ってしまったものは手元に戻ってくることはありません。その点質屋なら、品物を預けてお金を借りるだけなので、元金と利息を払えば預けた物を取り戻すことが可能です。
質屋の返済期限は原則3ヵ月です。それ以降は、利息を払えば延長も可能です。
必ずしも返済する必要はない
質屋でお金を借りても、必ず返済しなければならないということはありません。返済期限が過ぎても遅延損害金などが発生することもありません。ただし、品物を取り戻すことはできないので注意しましょう。
審査はなくすぐにお金を借りることが可能
質屋でお金を借りる際に審査はありません。本人確認ができる身分証などは必要ですが、収入証明書や給料明細などは用意しなくても大丈夫です。他社からの借入金額や年収、勤務先などを伝える必要もありません。
預ける品物を査定してもらい、値が付けばすぐにお金を借りることができます。
預ける品物によってはお金を借りることができない
お金がいくら借りられるかは、品物の査定によります。質屋での預かりは、買取の7~8割程度と言われています。何でも預かってもらえるわけではなく、値が付かなければお金を借りることはできません。
主な取り扱い商品は次のようなものです。
- ブランド品(バッグや時計、アクセサリーなど)
- 金やプラチナなどの貴金属
- ダイヤモンドやルビーなどのジュエリー
- 電化製品
- カメラ
- ゲーム機
- パソコン
店舗によって預かってもらえるものが異なるので、確認が必要です。
郵便局では定期貯金を担保にしてお金を借りることができる
郵便局には銀行や信用金庫のようなカードローンやフリーローンはありませんが、担保定額貯金もしくは担保定期貯金を担保にしてお金を借りることができます。
担保定額貯金などを担保にしてお金を借りられる「貯金担保自動貸付け」
郵便局で担保定額貯金か担保定期貯金をしていれば、「貯金担保自動貸付け」が利用できます。
特別、お金を借りる際に申請をするなどの手続きはありません。通常貯金の残高以上を引き出すと、その不足分が自動的に貸し付けられるというものです。借りた金額と利子を通常貯金に預入すれば、自動で返済となります。
借りられる金額は預入金額の90%以内
「貯金担保自動貸付け」の概要は以下の通りです。
利用可能金額 | 預入金額の90%以内(1口座300万円まで) |
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金利 | 担保定額貯金:返済時の約定金利+0.25%、担保定期貯金:預入時の約定金利+0.5% |
貸付期間 | 借りた日から2年 | 借入・返済回数 | 制限なし |
貸付期間内に返済しないと貯金が払い戻しされるので注意が必要
貸付期間には注意しましょう。期間内に返済しないと、担保にしている貯金が払い戻されてしまいます。また、返済は元金(実際に借りた金額)だけでなく、利子も返済することを忘れないようにしましょう。
会社からお金を借りたい場合は福利厚生の従業員貸付制度を利用する
会社の福利厚生に、従業員貸付制度(社内融資もしくは社内貸付)があれば、会社からお金を借りることができます。
従業員貸付制度で借りるお金は、会社のお金での貸付です。前借りのように、自分の給料を前借りするわけではありません。そのため、翌月の給料が前借りの返済でほとんどなくなってしまう、ということはありません。
従業員貸付制度では借入金額や返済金額、返済期間などが社内で決められていて、原則その決まり事に沿って貸付が行われます。お金に困っている社員を助ける制度なので、借りた人の返済負担が重くならないように設定されています。
低い金利で借りられるのもメリットです。
賢く利用しよう。公的支援制度の活用術
公的支援制度は、生活困窮者や学生、事業者など、様々な人々を支援するために設けられた制度です。金利が低く、返済期間が長いなど、民間の金融機関よりも返済負担が軽いのが特徴です。
お金を借りることは悪いことではありません。大切なのは、自分の状況に合った方法を選ぶことです。公的支援制度は、金利が低く、返済負担が軽いので、賢く利用すれば夢を実現するための力になります。